「虹の向こうで生きている」
LGBTQ+コラボ小さいふ。の発売記念して、お財布のデザインも手がけた仲谷さんが20年以上前にプライドマンス発祥の地であるアメリカで目の当たりにした現地の様子を振り返ってエッセイ「虹の向こうで生きている」を書き下ろしていただきました。是非ご覧ください。

仲谷暢之
大阪生まれ。吉本興業から発行していた「マンスリーよしもと」の編集・ライティングを経て、ライター、編集者、イベント作家として関西を中心に活動。

San Francisco
初めてサンフランシスコへ行ったのは25年前。ちょうど6月。プライドマンスの時期だった。
そもそもプライドマンスとは、1969年6月、ニューヨークにあるゲイバーで警察官による不本意な摘発から起きた暴動がきっかけとなって始まった、、
のちに「ストーンウォールの反乱」と呼ばれるLGBTQ+やマイノリティたちの権利や文化、コミュニティへの支持を示す政治・抗議運動などを含んださまざまなイベントが行われるひと月で、それはやがて世界各国でも行われるようになった。


僕が滞在していたのは友人宅。LGBTQ+がたくさん暮らすカストロストリートの近く。
初めて訪れたストリートエリアは、プライドマンスの高揚感も相まって、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫のカラーが並んだフラッグを中心としたレインボーカラーに溢れていた。
そんな中で「オズの魔法使」のビジュアルやキャラクターがたくさん使われていたのが印象的で、友人に尋ねると、「ドロシーを演じたジュディ・ガーランドはゲイのイコンだからね」と教えてくれた。
その時は「そうなんだ」と相槌を打ち理解したフリをし、ただ映画の中で歌われた「Over the rainbow(虹の彼方に)」の曲と関連あるんだろうなと想像はついた。


New York
それから数年後、今度は6月のニューヨークを訪れた。
その頃、ニューヨークへは、自身の誕生日と重なるハロウィンシーズンを狙って行ったのだけど、シスコの友人が「プライドマンスの時期に行くんだけど合流しない?」という提案に好奇心がもたげ、乗ったのだった。
サンフランシスコの6月の雰囲気は、個人的に地元のLGBTQ+を含む住民たちの顔が見られる手作りな感じがし、ニューヨークのそれは、企業がドーン、大きな団体がドーンという官民一体感のイメージが強かった。
特にパレードはサンフランシスコのそれとは比べものにならなかった濃厚なるレインボーの洪水を見せつけられ、自身のセクシャリティに対して長年抱いていたモヤモヤが見事に吹っ切れ、そこからゲイのフィルターを通して文化や社会を見ることに貪欲になっていたのを覚えている。


虹の彼方に
そしてこの地で改めてプライドマンスとジュディ・ガーランドの関係も改めて知った・・・。
1978年6月下旬にサンフランシスコで開催された「ゲイ・フリーダム・デイ・パレード」でレインボーフラッグは初めて披露されたそう。考案したのはアーティストのギルバート・ベイカー。
彼はストーンウォールの反乱が起こる数日前に亡くなったジュディ・ガーランドと、彼女のことを崇拝していたゲイたちの関係性はとにかく深かったという。


彼女の死に対する彼らの悲しみは深く、それがストーンウォールでの暴動の一つのきっかけにもなったのは今も「神話」として語られており、それらのことも含めてギルバートが「オズの魔法使い」の中で象徴的に歌われる「Over the rainbow(虹の彼方に)」を念頭に置いてフラッグを掲げたのは必然だったと思う。
ちなみに元々は8色だったそうでピンクが無くなり、やがて青緑も無くなって現在の色に落ち着いた(ピンクと青緑に安価な布が手に入れにくかったという理由もあるらしい)。
今ではLGBTQ+の象徴として、その6つの色たちはメッセージを送り続けている。


モノづくり×MOVIE×LGBTQ+
そんな中、クアトロガッツさんからこのブライドマンスをきっかけとして、マイノリティへの意識をさらに高められるきっかけとなればということで、財布を作ることになった。
僕自身、元々、高校からデザイン系の学校に進み勉強をしていたので、嬉しい限り。それに自分のセクシャリティであるゲイを含むLGBTQ+をコンセプトにしたものであるというのも嬉しい限りだった。
今回、デザインしたものは、僕が映画についてのライターもさせていることもあり、今昔、約50本ほどのLGBTQ +をテーマにした映画のタイトルを散りばめさせていただいた。
その中には当然、「オズの魔法使(The Wizard of OZ)」も入っている。浮かび上がるタイトルを指肌で感じながら、それら作品もぜひ見ていただけたらと思っている。
ということで、今回からLGBTQ +をテーマにした、取り上げた映画を紹介していきたいと思う。

今改めてオススメしたいLGBTQ+映画
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