「Forever Young はじまりの日」

我が家では寝る前に子供が読んでほしい絵本を選んで一緒に読むのが日課になっています。まだ二歳の息子が気に入ってる本がクリスマスに何冊か買った絵本の中の一つがボブ・ディランの名曲『Forever Young』が絵本になった作品「はじまりの日」です。子供向けの絵本も家にはたくさんあるのですが、いつかわかってくれたらいいなと思って贈りました。

舞台はボブディランの活躍した1960年70年代のアメリカ。ベトナム戦争への反戦運動、黒人の人種差別に反対する公民権運動、世界初の衛星中継で公開レコーディングをしたビートルズ、SNSはないもののテレビや雑誌を通じて世界の若者が同じ文化を共有しはじめた時代でした。

STOP THE WAR!

ベトナム戦争に反対するデモ行進の絵にはジョンレノン、マーティンルーサーキング、絵本の随所にフォークシンガーのウッディガズリー、詩人のアレンギンズバーグ、レコードジャケット、本の背表紙のタイトルなど細部に当時の文化が散りばめられています。

ウクライナ情勢のニュースで不安になる昨今です。
看板を壊された東京のロシア食品店の店主はウクライナ人の方でした。その方は「私たちは日本とウクライナ、ロシア、その他の国々との懸け橋になりたいという気持ちで働いています」とtwitterでつぶやきました。加害者も被害者も平和を望んでいる罪のない庶民です。そんな罪のない人たちを憎しみと争いへと巻き込んでいく戦争。

この悲惨な出来事に終止符を打ち平和な時代を作るためには、私たち一人一人が学び賢くなり、お互いに思いやりを持ち力を合わせて連帯し、その土壌から平和的な方法で物事を解決できるリーダーを生み出していくことしかないのではないでしょうか。多くの歴史的偉人が夢見たように、いつの日か国籍や人種や思想宗教の差異を越えて人々が結び会える日を目指して。

ボブ・ディランの名曲『Forever Young』に、詩人アーサー・ビナードの訳詩と、新たに爽やかな絵が加わって、希望あふれる絵本になりました!
『Forever Young』は、1974年に発表されてから老若男女にうたわれてきた、子どもを思うあたたかな名曲。これまで正式な日本語訳がなかったこの曲を、アメリカ生まれの日本語の詩人アーサー・ビナードが歌える日本語訳にしました。ロックの歴史的名曲と絵本の新しい出会いを味わえる絵本。

STAFF/中辻晃生