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「嵐が丘」

2月27日(金)ロードショー。

1847年に刊行されたイギリスの小説で、世界中で幾度となく舞台化・映画化がされているベストセラー小説「嵐が丘」を、『バービー』のマーゴット・ロビー主演で映画化。

監督 エメラルド・フェネル
出演 マーゴット・ロビー、ジェイコブ・エロルデ

嵐が丘公式サイト
劇場情報

今回は2月27日(金)公開の「嵐が丘」を紹介。

あらすじ
イギリス・ヨークシャーの荒野、嵐が丘と呼ばれる高台にたたずむアーンショウ家の屋敷。
同家の令嬢・キャサリンと、屋敷に引き取られた身寄りのないヒースクリフは、身分が異なる立場にいながらも子どものころから心を通わせ、強い絆で結ばれていた。大人になった二人は惹かれ合い永遠の愛を誓うも、身分の違いや周囲の境遇に翻弄される・・・。

1847年にエミリー・ブロンテによって書かれた小説をベースに大胆な解釈と脚色で現代に蘇らせたのが今作。

個人的には1939年のローレンス・オリヴィエ版と、1992年のレイフ・ファインズ版の2本を見ていますが、今回は全く別物といった感じ。その大胆すぎる脚色に、アメリカなどでも賛否両論の意見が。
とはいえ個人的には、実は原作が持っている核の部分を今作では描きたかったんじゃないかなと。

その核というのは、19世紀前半の女性の存在。

当時の女性は、男性からも社会からもまだまだ劣位に見られていた時代。それゆえに一人の女性としての“生々しいまでの生き方”を描いている印象を受けました。

原作や映画では一種の亡霊のように描かれていたヒロイン、キャシーが、今作では輪郭もはっきりと“精力的”な行動を繰り広げる女性としての姿は正直言って、全く同情もできないのだけど、女性の抑圧された“性”の悶々を彼女を通してしっかり描ききり、そこは過去に作られた「嵐が丘」よりも新しいなと思わせ、やはりそこは女性監督だからこそ、主演のマーゴット・ロビーがプロデューサーも兼ねているからこそ、そこに重きを置けたのかもと思いました。

さらに幼い頃から彼女に仕える女中のネリーは、親友であり、彼女に対して恋愛感情を抱く人物としてしかもそのキャラクターはアルフレッド・ヒッチコック監督の映画「レベッカ」のダンヴァース夫人を彷彿とさせ(この作品では主人公、マキシム・ド・ウィンターの亡くなった前妻レベッカに対するダンヴァース夫人の恋愛感情を匂わせている)、複雑で重要なキャラクターとして登場するのが面白い。

反対にキャシーと身分違いの恋を繰り広げるヒースクリフのキャラクターはこれまでの「嵐が丘」の人物像の延長線上にあって、「風と共に去りぬ」のレッド・バトラーや「ピアノ・レッスン」のマオリ族のジョージ・バインズのような、粗野でワイルドで、でもセクシーというかつての女性が描く理想の男というものを具現化し、逸脱していないし、なんならヒゲを剃ったら、あら、男前だったみたいなベタすぎる展開も見せる。

さらにガラスをねっとり這うカタツムリ、こねるパン、男の背中の汗、さらに並ぶ豚足、皮膚のような壁紙、イザベルがキャシーにプレゼントする飛び出す本などで性的興奮を比喩する分かり易さが、結果、官能小説やハーレクイン小説になっている皮肉。
そして映画を見終わるとムラムラしている自分がいる不思議。

仲谷暢之
大阪生まれ。吉本興業から発行していた「マンスリーよしもと」の編集・ライティングを経て、ライター、編集者、イベント作家として関西を中心に活動。


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