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「愛はステロイド」
8月29日(金)より公開。
監督:ローズ・グラス
出演:クリステン・スチュワート/ケイティ・オブライアン/エド・ハリス/ジェナ・マローン
配給:ハピネットファントム・スタジオ
「愛はステロイド」公式サイト
劇場情報
今回は8月29日(金)から全国公開される『愛はステロイド』(凄いタイトル!)を紹介。
あらすじ
1989年、ニューメキシコ州の⽥舎町。
倉庫を改造したガチトレーニングジムで働くルー。
ある日、そのジムにやってきたジャッキーと運命的な出会いを果たす。
たくましい筋肉を纏った彼女は翌月ラスベガスで開催されるボディビル大会に出場するため、経由地であるこの街にたどり着いたそう。
ジャッキーに一目惚れしたルーは、ついに一夜を共にし、ついでにジムでまとめ買いしているというステロイドをジャッキーにプレゼントし、家に泊めることも受け入れる。
ジャッキーは、日銭を稼ぐためにルーの父親が経営する射撃場で働くようになり、ジムで鍛え、ルーとの日々を楽しんでいたが、やがてルーの姉が夫に暴力を振るわれ入院したことがきっかけとなって彼女と、二人を取り巻く人々の歯車が軋んでいく・・・。


閉塞感漂う田舎町で、日々同じルーティンを繰り返すルー。町を出ていきたいけれど結局、嫌悪する父親からの呪縛から逃れられない彼女。しかもレズビアンである。周りには体を鍛えることしか楽しみのないマッチョイズム溢れまくりの男たちが、彼女を“レズ”だと嘲笑し、さらに気分は悶々鬱々となっている。


それだけに或る日突然やってきたジャッキーという存在がどれだけ大きかっただろう(どタイプということもあっただろうけど)。まるで自分を連れ出してくれる白馬の王子様のように感じられた彼女は、この機会を逃してなるものかと、自分なりの猛アタックで見事、モノにしてしまう。

これ、都会に住んでいない同性愛者の琴線には刺さりまくりだろうなと思う。マッチングアプリをダウンロードし、開いてみても周辺にはゲイいなかったり、いても数少ない顔見知りや、ちょっと過去に“関係”があった人だったり・・・。ましてやレズビアンはさらにコアなコミュニティが存在し、出会いを求めるとなると、ハードルが高かったり・・・そんな話を山ほど聞いてきたので、今作のルーという存在には複雑な気持ちを抱いてしまった。

闇商売で田舎町を牛耳る父親の存在、クズ旦那からDVを受けているのにそれが愛だと盲信する姉の存在。結果、家族というしがらみを“勝手に背負ってしまってる”彼女にとってジャッキーは果たして本当に救世主だったのか、それとも破滅へと向かわせる堕天使だったかは、互いが考える“愛の正解とは?”がもたらす結果へと突き進む。

年齢を重ねた女優が美に固執したことで肉体、精神が崩壊する、デミ・ムーアが体を張りまくったブラックコメディホラー『サブスタンス』や、スーザン・サランドンとジーナ・デイビス主演の90年代の女性版『俺たちに明日はない』とも称され、ブラッド・ピットの出世作にもなった『テルマ&ルイーズ』を彷彿とさせる、なかなかにエッジとスパイスの効いた内容になっている。
仲谷暢之
大阪生まれ。吉本興業から発行していた「マンスリーよしもと」の編集・ライティングを経て、ライター、編集者、イベント作家として関西を中心に活動。
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