天王寺夕陽丘に革の仕入れへ行ってきました。

すぐそばに大阪名物「通天閣」が見える下町風情のある地域です。

漫画「じゃりン子チエ」の舞台としても知られます。

平成から令和へと新たな時代の佳節を迎えましたが、天王寺のこの辺りは平成のマンションや高層ビルも増えながらも、昭和も色濃く残ります。来る途中でおなじみパイン飴の本社も通り過ぎました。

日々、生活は便利に変わってきています。過去を振り返ったり、懐古するのはあまり好きではないのですが、長い間多くの人に親しまれてきた古いものにもスタンダードの良さがあります。古き良きモノの中に芽生える新しいモノ。

昭和のおっちゃんおばちゃん、平成の若者、令和の子供達、それぞれの味わいを大切に生かしていきたいですね。

天王寺のこの辺りに革屋さんや、革の厚みをそろえてくれる漉き屋さん、革の抜き型を作ってくれる金型屋さんなどがあります。

東京であれば浅草が同じように下町で革屋さんなどが集まる場所になっています。

モノづくりをはじめたての頃「本物の革とは何か?」を丁寧に教えていただいたのが天王寺夕陽ヶ丘に社をかまえる革屋さんのハシモト会長でした。

ハシモト会長のところに初めて革を買いに行ったのは、心斎橋の商店街や梅田の陸橋の上で、歌うたいや絵描きに混じって、自分たちの作ったものを道にゴザを広げて売っていた頃でした。

革屋さんの中でも大手でないと門前払いというお店も多い中で、ハシモト会長は「面白いやないか」と知名度や会社の規模関係なく革を売ってくれ、お金もないので革を一枚一枚選っている姿を見て、丁寧に革のことを教えてくれました。

今でも行くと同じモノづくりの師匠、人生の師匠として会長は様々な話をしてくれます、

通天閣の下の包丁屋の話、会長が十代の頃に叱られた時の話など、そんな滅多に聞けない話を聞かせてくれるのです。またご紹介しますね。

十代の頃、自分の貯めたお小遣いで、雑誌で見たジーンズや革靴を大阪や京都の市内まで出てドキドキしながら買ったことを覚えています。レコード屋や古着屋を巡っていると、醸し出す佇まいや雰囲気、匂いのようなものにやられてしまった記憶があります。宝物を探しに行っているような不思議な感覚でした。

十代の頃夢中になったもの。雑誌のページを何度も眺めたり、お店にあるものを何度も手にとってみたり、録画した番組を何回も巻き戻して見たり。そういうことを「好き」というのなのかも知れませんね。心の底にある自分の気持ちを発見する。こうありたいな、こんな風でいたいな。今していることもそんな気持ちの延長線上にあって、これからも続いていくのかも知れないですね。

モノづくり。今思えばそんな夢中になったモノたちも、小さなパーツやネジを含め、街の小さな商店や工房で人の手でせっせと作られていたんだなと思います。

私たちも人に感動を届けられる「本物」を目指して日々成長していきたい思います。

これからも皆さんに喜んでいただけるモノづくりを目指して「令和」を邁進して参ります。