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「ダウントン・アビー/新たなる時代へ」
2022年月9月30日(金) 大阪ステーションシティシネマ 他 全国ロードショー

英国貴族の壮麗な大邸宅が舞台の大人気シリーズ「ダウントン・アビー」
愛すべき人びとが再びスクリーンへ。恋と謎とユーモラスと共に。

監督/サイモン・カーティス
出演/ヒュー・ボネヴィル、ローラ・カーマイケル、ジム・カーター、ミシェル・ドッカリー、マギー・スミスほか
配給/東宝東和

ダウントン・アビー/新たなる時代へ公式HP
劇場情報

今回紹介する作品も新作です。
日本でも2011年~2015年にかけて全6シリーズ放送され人気を博した「ダウントンアビー」。
1910年代から1920年代にかけて、イングランド北東部・ヨークシャーのカントリー・ハウスと呼ばれる大邸宅に住むグランサム伯爵ー家とその使用人たちの生活に、タイタニック沈没や第一次世界大戦など歴史上のエピソードが織り込まれた物語。

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ドラマシリーズが終了後、2019年にはイギリス国王、ジョージ5世とメアリー王妃が行幸啓途中にグランサム伯爵一家の住む邸宅ダウントン・アビーを訪問する騒動を描いた映画版も公開されヒットし、早く続編をとの期待に応えての新作公開となりました。

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今作では、ある日、大邸宅で映画撮影をしたいというオファーが、屋敷が痛み、その莫大な修繕費に頭を悩ませていた当主でグランサム伯爵長女のメアリーは、その高額な謝礼を聞いて、渡りに船とばかり伯爵らの反対を押し切って撮影を許可するというメインストーリーに、伯爵の母、バイオレットからかつての知人であるモンミライユ男爵から南フランスにある別荘を贈られたと聞かされ、一同は驚くと同時になぜ母に贈られたのか?その謎を解くために伯爵夫婦、娘夫婦、執事たちが別荘のあるリヴィエラへ向かうというサブストーリーが絡む展開。

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サイレント(無声映画)からトーキー(音声あり映画)に変わる時代、大邸宅の中で撮影される作品もアルフレッド・ヒッチコック監督の「恐喝(ゆすり)」のエピソードやジーン・ケリー主演のミュージカル「雨に唄えば」からインスパイアされた部分があり、時代の移り変わり、そしてメアリーの意外な才能と行動、使用人たちのアッと驚く活躍が描かれていて見ているだけで楽しくて華やか。さらに伯爵らが訪れる南フランスでは豪華な別荘でのパーティーや風光明媚な景色、フランスの貴族とイギリスの貴族の違いと、映画版らしい豪華さも味わえます。

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そんな様々なキャラクターたちが映える「ダウントンアビー」の中で、下僕から執事にまで出世したキャラクターがトーマス・バロー。実は彼は、同性愛者。かつてイギリスでは同性愛は犯罪であり、「ドリアン・グレイの肖像」や「サロメ」で知られる作家のオスカー・ワイルドが1895年に猥褻な行いによって逮捕され、2年の懲役を処されたことは世間でも話題となった(ちなみにイギリスで男性同士の性行為が合法化されたのは1967年!)。

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そんな社会の中で生きるバローは、もちろんオスカー・ワイルドのことは知っていただろうし、ましてや執事というのは、自分というキャラクターをなるべく消して主人に対して仕えることだけに生きる仕事。ドラマシリーズでは出世のために人を裏切ったり割とヒールな役割の裏にある彼自身のパーソナルな、映画版前作ではジョージ5世らと大邸宅を訪れた王室使用人のエリスとの愛の彷徨が描かれ「いつか世の中も変わるかな」と今も通じる思いを語らせ。今作でもまた新たな出会いと彼自身が時代の移ろいに対して答えを出す姿を描いている。

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バローの「心を殺して生きてきたわけじゃない」という言葉は、胸に刻まれるはず。
そしてラストはサブタイトルにもあるように新たなる時代を迎えるだろう一家にあることが起こります。それはまるで先日亡くなったエリザベス女王にも共通するような幕引き。

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仲谷暢之
大阪生まれ。吉本興業から発行していた「マンスリーよしもと」の編集・ライティングを経て、ライター、編集者、イベント作家として関西を中心に活動。


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