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「二十歳の息子」

「父親」になったゲイの男性と、施設で育った「息子」
これは少し不思議な、普通と違った「家族」のドキュメンタリー

2023年2月11日(土)ポレポレ東中野にて公開 以降全国順次
3月末まで東京・ポレポレ東中野公開中

監督:島田隆一 
出演:網谷勇気、網谷 渉
撮影:林 賢ニ、前田大和
編集:遠山慎二
整音:川上拓也
音楽:河北聖子

二十歳の息子公式HP


3月11日(金)より、名古屋シネマテーク、大阪・第七藝術劇場、神戸・元町劇場で近日公開される「二十歳の息子」を紹介します。

ゲイの男性と実の両親を知らないまま育った青年が、養子縁組をして“父と息子”として、新たな関係性を気づこうとしていく様子を記録したドキュメンタリー。

児童養護施設で暮らす子どもたちの自立支援団体「ブリッジフォースマイル」で働いて2年目の時、網谷勇気さんは、高校在学中からこの団体のプログラムを利用していた渉さんと知り合ったものの、彼が二十歳になった時にある事件を起こし、起訴される事態に。

前科がついてしまったことで団体職員として関わることの限界を感じた網谷さんは、彼の生活を立て直す手段として養子縁組を提案すると、渉さんはその提案を受け入れる・・・。

見終わって、いろんな意味での距離感を探っている映画だなと思った。

ゲイゆえにまさか自分が親になるとは思わなかった網谷さん、しかも成人した男性の父親になった彼の、渉さんに対しての距離感、そして彼のことを改めて息子として紹介する家族との距離感、彼が運営するNPOのスタッフたちとの距離感。

そして養子になることを受け入れた渉さんの、網谷さんとの距離感。そして付き合っていた彼女との距離感、自身と向き合う距離感。仕事との距離感。

フィクションならいろんな山場を作るだろう、色気のある監督ならドキュメンタリーでもある着地点を見せてくれるだろう。でも今作は最後まで距離感を細工せずに映像に収めている。その監督と網谷親子との距離感。

最後に見ている者と被写体との距離感。
87分の上映時間の中で映されている事象に対して各々がどのくらいの距離感を掴むかで様々な思いを巡らせるはず。




仲谷暢之
大阪生まれ。吉本興業から発行していた「マンスリーよしもと」の編集・ライティングを経て、ライター、編集者、イベント作家として関西を中心に活動。


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