『わかる』ハシモト会長かく語りき

第26話  証言「自分でよう考えて行動しろ」

太田俊明
ハシモト産業株式会社
東京営業所所長

社長はお酒を飲まれないですが、食にはうるさい人です。
すべてに対してこだわり、哲学を持っているんです。
どんなものでも偽物はイヤがりますね。

ほんまもんを求めます。
千円でも千円の価値がないものは高いし、十万円でも価値があるものは安いという。
金額じゃないんですよね。
手抜きのやっつけ仕事をしているところには、絶対に納得しません。

強気でくる人には社長も強気で向かいます。
逆に優しい部分を持っている人、人の痛みを共有できる人には、優しく接します。
弱い人には、絶対に強く出ない。人に対しても、商売に対しても、同じですね。

一から十までいう人ではないんです。
一か二かいって、「あとは自分で考えて行動しろ」と。
それが良いかどうかはわかりませんが、社員全員が槁本イズムを受け継いでいるのは確かです。

違うベクトルに向かっている社員は、ひとりもいないですね。
考えれば考えるほど、不思議な人です。昔のことはわかりませんが、貧乏政治家ってこんな人だったんだろうなって、社長を見て思います。

何か、そういった宿命を背負って立っているんでしょうね。
言葉の一つひとつが温かくて、投げやりじゃないんです。
社員に対しても、周囲の人たちにも。


この連載について

「革っちゅうもんはなぁ、、、。」本物の革とは、商売とは、人間とは?
クアトロガッツを始めた頃に革屋さんではじまった人生談義。
それがハシモト会長との出会い。

80歳を超え、戦後からの日本を生きてこられてきた中で培われたその稀有な人生哲学と大阪ならではの人情味あふれる人柄。
「そや、ここに紙があるやろ。俺らは今までこの紙の裏をやってきたんや。いっぺん表をやろうと思うんや。」
珠玉の言葉を噛み締めていただければと思います。

『 わかる。ハシモト会長かく語りき』