『わかる』ハシモト会長かく語りき

第19話 正直の価値「ひとつだけ、自慢できること」

こんな私にも一つだけ、自慢できることがあるんです。
三十年間、お盆とお正月に、嫁の母親と自分の母親を連れて、家族で日本中を歩きまわったんです。
これだけは、一年も欠かすことなくやり通しました。

年寄りだから、文句は多かったけど。
あの時は、金どないしたんかなぁ。

年末は三十日に出て、年明け四日に戻ってくるんやけど戻ってきたら金はスッカラカン。
ラーメンばかり食べてね。
時には、よそのお婆さんまで連れて行ったこともありましたなぁ。
そんなことしか、できんかった。

よく行ったのは、長野の藤井荘。
金たらんようになって、つけにしてもらったもんですわ。
自分にかけをしとったんよ。
これを必ずやらんと年越せへん、とね


この連載について

「革っちゅうもんはなぁ、、、。」本物の革とは、商売とは、人間とは?
クアトロガッツを始めた頃に革屋さんではじまった人生談義。
それがハシモト会長との出会い。

80歳を超え、戦後からの日本を生きてこられてきた中で培われたその稀有な人生哲学と大阪ならではの人情味あふれる人柄。
「そや、ここに紙があるやろ。俺らは今までこの紙の裏をやってきたんや。いっぺん表をやろうと思うんや。」
珠玉の言葉を噛み締めていただければと思います。

『 わかる。ハシモト会長かく語りき』